ぶどうの歴史2010年03月23日 16時48分49秒

たまにはぶどうに関するまじめな話でも。

ぶどうの原生地は西アジア(ヨーロッパ)種、北アメリカ種、東アジア種の三大種群に分けられます。

ヨーロッパ種の原産地はコーカサス地方、カスピ海沿岸と言われ、約1万年前には食べられていたらしい。ワインの発見は紀元前8000~10000年、栽培は紀元前6000年頃に始まり、その後、ヨーロッパ、アフリカ北部、ユーラシア、日本へと広まります。ワイン用品種やマスカット・オブ・アレキサンドリアなどはこの種に属します。

北アメリカ種は野生ぶどうが先住民に利用されていました。これらの野生ぶどうはコロンブスの新大陸発見以降のヨーロッパ移民には不慣れで好ましくない香り(Fox flavor)が嫌われ、ヨーロッパ種のぶどうの栽培が始められました。アメリカにはフィロキセアと呼ばれるぶどうの根につくアブラムシが存在し、移植したヨーロッパ種のぶどうは抵抗性がなく失敗しています。さらにフィロキセアはヨーロッパにも持ち込まれ、ヨーロッパのぶどう栽培に大打撃を与えました。今でも用いられているフィロキセアに抵抗性のあるアメリカ種を台木、ヨーロッパ種を接ぎ木をする防除法がこの頃に確立されました。アメリカでは野生ぶどうとヨーロッパ種の交雑などにより品種改良が進み、18世紀後半に”コンコード”が栽培されるようになりました。

東アジア種は古来からチョウセンヤマブドウやヤマブドウなどの野生ぶどうが、日本、朝鮮半島、インド、東南アジアに分布しています。自然採取の生食主流でワイン醸造はほとんどされず、近年に至るまで育種や改良されずに放置されていました。その後、日本にはヨーロッパ種の甲州やアメリカ種のデラウェアが導入され、近年では多くの品種が生み出されるようになっています。

写真は植原葡萄研究所より引用。

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